今回のジャズギターレッスンブログはアッパーストラクチャートライアドについて解説していきます。
アッパーストラクチャートライアドとはベースとなるコードに対してテンションノートをより効果的に抽出するように編み出されたアプローチです。
インサイドな(トーナリティー内での)アッパーストラクチャートライアドによる演奏アプローチはビバップ時代からすでに演奏されていました。
(ジャズギターリストのウェスモンゴメリーやジョーパスなどが代表的)
アウトサイドなサウンド(トーナリティから外れたり、違ったコードを想定した)での高度なアッパーストラクチャートライアドでの演奏法は主にギターリストのKurt RosenwinkelとサクソフォニストのMark Turnerの黄金コンビの登場により研究が推し進められます。
トライアドの学習に推奨したい音源
それではまずギター譜例と音をご確認ください。
1つのコード上で2つのトライアドを想定する
1小節に1つのコードの場合、トライアド(3音)のアプローチでは音の埋め合わせが広く感じるので、2つのトライアドを掛け合わせたアプローチが無難でしょう。
今回の場合Dm7♭5ではA♭トライアドとB♭トライアドを組み合わせ、G7ではD♭トライアドとE♭トライアドを組み合わせています。
理論的な分析
一つずつコードの上でのトライアドの役割を解説すると…
Dm7♭5上でのA♭トライアドとB♭トライアドの組み合わせはCナチュラルマイナースケールのサウンド想定が可能です。
A♭トライアド = A♭ – C – E♭
B♭トライアド = B♭ – D – F
A♭トライアドが最終的な解決先であるCナチュラルマイナーの♭13音(Cマイナーに対して)をピックアップしB♭トライアドは9th(D音)と11th(F音)が空間的なサウンドを演出します。
この場合Dm7♭5上での解釈を考えるよりも解決先のCマイナーコード上でのサウンドとしての解釈でトライアドの分析を行うと良いでしょう
続いて、G7上でのD♭トライアドとE♭トライアドの関係>を確認していきましょう。
D♭△ = D♭ – F – A♭
E♭△ = E♭ – G – B♭
これらの音をG7に置き換えると…
D♭ = ♯11 E♭ = ♭13 F = ♭7
G = Root A♭ = ♭9 B♭ = ♯9
となりオルタード・テンションを想定してのラインとなります。
アッパーストラクチャートライアドの組み合わせ
アッパーストラクチャートライアドによるジャズギターアドリブ演奏を習得するポイントの一つとして、私は2つのトライアドの組み合わせによるサウンドカラーをまず研究し自分の中にストックしていく練習をお勧めしています。
例えば上記の譜例のDm7♭5上でのトライアドペア(A♭トライアドとB♭トライアド)に注目してみましょう。
このサウンドは解決先のマイナーコード(Cm)の上でエオリアンスケールの雰囲気を演出できます。
このトライアドペアはダークでクールなギターフレーズに仕上がる傾向があります。
トライアドの音の配置の組み合わせと終止音として選択する音によってはサウンドの雰囲気が多少変化しますが、私の中では暗くてクールなギターフレーズ一派としてストックしています。
♭Ⅵトライアドと♭Ⅶトライアドをマイナー上で演奏する例を作成しましたのでサウンドをチェックしてみましょう。
トライアドの連結のコツ
演奏におけるトライアドサウンドの連結のコツは2度音程での連結が基本として考えられます。
特にギターの場合、トライアドの連結の時に大きなインターバルを用いてしまうとトライアド同士のサウンドの融合が崩れてしまいうまくミックスされたサウンドの演出ができなくなってしまいます。
好みのトライアドペアを発見したら、しばらくは2度音程以内での連結を意識してギター上で練習してみてください。
今回のジャズギターレッスンブログが読者の皆様のお役に立てば嬉しいです。最後までご覧いただきましてありがとうございました!!
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