今回のジャズギター講座は効率的なジャズギターアドリブ練習方法と題しましてジャズギターリストのPat Martino氏のジャズギターアドリブを例に使用しジャズギターアドリブフレーズの効率的なストック方法をご紹介します。
Ex:1ジャズギターアドリブ論 | Pat Martino氏のジャズギターアドリブフレーズ
長いジャズアドリブフレーズを覚えない
ジャズギターアドリブ演奏を耳コピーしストックしたジャズギターフレーズを覚えてジャズギターアドリブソロに当て込むジャズギターアドリブ練習方法をよく耳にしますが、
私の推奨するジャズギターアドリブフレーズのストック方法は短いジャズギターアドリブフレーズに分割し、さらにそこにある「アドリブの方法論」をジャズギターアドリブソロに当て込む方法です。
長いジャズギターアドリブフレーズのストックは使用頻度が大幅に下がりギターでジャズアドリブ演奏の最中に意識をしないと狙ったジャズギターフレーズがアドリブが出てこなかったり、
1音でもズレが生じるとジャズギターのアドリブが成立しなかったりとデメリットが目立ちます。
私はジャズギターのアドリブ演奏中に「あのジャズフレーズを弾こう」と意識をしてジャズギターのアドリブ演奏をすることはありません、ジャズギターアドリブ演奏中には幾つも存在する私自身のジャズアドリブ論を繋げてアドリブをすることが多いです。
上記の内容を踏まえると…
先ほど紹介したPat Martino氏のジャズギターアドリブソロをB♭メジャーのジャズギターフレーズとしてストックするのではなく今回のPat Martino氏のジャズギターアドリブソロから4つの手法を編み出し、
4つのジャズギターアドリブ論に落とし込んでいく方法をこれからご紹介します。
ブルージーな音の囲い込み
Ex:2 ジャズギターアドリブ論 | ブルージー演出
第1のジャズギターアドリブ論は1小節目の1、2拍目に確認出来るB♭の3rd音(D音)への囲い込みです。
11thと♭3rdの音での3rd音の囲い込みはブルージーな雰囲気を演出するのでブルースギターリストやジャズギターの開祖でもあるCharlie Christianなどのジャズギタリストが多用したアドリブ論です。
私の中では1930〜40年のトラッドなジャズの雰囲気を演出するようなジャズギターアドリブフレーズとしてストックされています。
代理的なコードのアイデア
Ex:3 ジャズギターアドリブ論 | マイナー代理
第2のジャズギターアドリブ論はメジャーのⅢ度マイナーでの代理的アプローチです。
代理的なアプローチはジャズギターのみならず多くの音楽に応用可能なアドリブ論ですので特に注目してください。
ジャズギターではモダンジャズ〜コンテンポラリージャズまで多岐にわたり継承されているジャズギターアドリブ奏法で大変便利です。
Pat Martino氏のジャズギターアドリブソロではⅢ度マイナーの考え方とさらに推し進めてマイナーペンタトニックでのジャズギターアドリブに転化させています。
「Ⅲ度マイナーならⅢ度のマイナーペンタトニックスケールでの代用もいいでしょ!」
これ位柔軟に考えてジャズギターアドリブ論としてストックしてみると良いかと思います^^
はじめに紹介したジャズギターアドリブ論のブルージーな囲い込みからDのマイナーペンタトニックスケールでの節がスタートしているところにも注目してみましょう。
ここでアドリブ手法とアドリブ手法が連結を起こしています。
この観点は今回紹介しているジャズギターアドリブフレーズを長いジャズギターアドリブフレーズとしてストックしていては見出せないポイントの1つでしょう。
ビバップライクなジャズフレージング
Ex:4 ジャズギターアドリブ論 | ジャズ感演出フレーズ
Pat Martino氏のジャズギターアドリブソロの2小節目頭から2拍にわたって演奏されているジャズギターアドリブ論。
ここはビバップな雰囲気のジャズギターアドリブ演奏につながる重要なポイントです。
プルダウンを使ったジャズギターアドリブを多用したのはジャズギターリストのJoe Passです。
Joe PassはCharlie Parkerのジャズアドリブ演奏のコピーを沢山したようでフレージングやリズムの歌いまわしなどにもホーンライクなアドリブの雰囲気が漂います。
今回のジャズギターアドリブソロもホーンライクなジャズギターアドリブソロですね。1小節目のブルージーなジャズギターアドリブ論と近い接続タイプのジャズギターアドリブフレーズの手法です。
B♭メジャーの9thと7th音でRootの音を囲い込んでいます。
そしてプルダウンの表現までを1つの小さなジャズギターアドリブ論として、また短いジャズアドリブフレーズとしてのストックとしていきます。
クロマチック下降でのアドリブ論
Ex:5 ジャズギターアドリブ論 | クロマチックでジャズ感演出
クロマチックなジャズギターアドリブ論のストックには少しコツが必要になります。
ポイントになるのはクロマチックの到達する先も把握してジャズギターアドリブアイデアとしてストックする事と音数を4音で区切ってストックする事です。
今回ピックアップしているPat Martino氏のジャズギターアドリブフレーズでは続くB♭m7の5thの音(F音)へと到達しています。
B♭の5thにB♭の7thの音から半音ずつ4音のクロマチックで到達するという形でストックしましょう。
こうする事で短いジャズギターアドリブを連結する際に
「どの音へ繋げていけば良いのか?」
「どの音へ行き着くのか?」
がはっきりとしてくるので、ジャズギターアドリブの方向性が見出しやすくなります。
また、ギターでは8音の長いクロマチック表現はなかなか厄介な演奏フォームになるので4音からのクロマチック演奏論としてジャズギターアドリブフレーズを取り入れていく事をお勧めします。
ジャズアドリブ論を自由に変形させる
上記で紹介した4つのジャズギターアドリブ論は全て2拍ずつの短い手法でした。この長さの手法であればジャズギターアドリブの演奏中に多彩なフォームへと変形させつつ演奏することが安易になります。
ジャズギターアドリブアイデアのある音を伸ばしたり、または少なくしたり加えたり、リズムを変えたりしてアドリブ論へ微妙な違いを加えたりします。そしてまた次のジャズアドリブ手法へつなげる…といった流れです。
その為、短いジャズアドリブフレーズのストックは効率的なジャズギターアドリブフレージング練習方法の1つと言えるでしょう。
もし読者の方の中でジャズアドリブフレーズ集やジャズギターアドリブのコピー譜などをお持ちの方は莫大なジャズアドリブフレーズ例の2拍ずつに注目するようにしてみましょう。
そこに何か自分でも使えそうなジャズアドリブアイデアはありますか?どのようにジャズのアドリブ手法を接続しているのかにも注目してみましょう。
今回のジャズギター講座は効率的なジャズギターアドリブ演奏論としてジャズギターアドリブフレーズのストック法のヒントと分類方法のヒントをお送りしてまいりました。
最後にジャズギターアドリブフレーズのストック法を見つけ出す嗅覚を養う2つのポイントをご紹介します。
日頃ジャズを聴く
1つ目はジャズの演奏を多く聴くことです。
ただジャズを聴くにしても古いものから最近のものまで幅広くジャズをリスニングするようにして多くのジャズプレーヤーの雰囲気を味わってみるようにしましょう。
この場合のジャズリスニングはちょっと勉強チックな感じでいつもの音楽鑑賞とは違った感じで行ってもらうと良いと思います。
私の師でもあるコンテンポラリージャズギターリストのLage Lund師匠は「ジャズのリスニングをこの部屋に入って40分しなさいってジャズギターのレッスンもいいと思うんだよねぇ」と仰っていたのを覚えています。
意識的なジャズのリスニングは重要なジャズの練習と思ってもらって良いと思います。ギター以外のジャズを聴くようにもしましょう。
音楽理論の理解力2つ目は音楽理論に対して柔軟に対応できるようにすることです。つい音楽理論と聞くと「この音は間違っている」とか「この音はスケール的に(またはコードに対して)合っている」などといった可能性を縛り付けるために存在するような感じに捉えやすいですが、今回のようなジャズギターアドリブ論のストックの際には時に音楽理論がジャズギターアドリブのアイデアのストック/研究の障害になることが有ります。ご自身のジャズギターアドリブ論を作り上げるための音楽の語法的表現をする時などに音楽理論を使って名前をつける。音楽理論の役目はそれ位ので十分です(笑)理論では間違っていても聴覚上の表現には効果的に働くことは多くあります。音楽理論に縛られないように音楽理論の理解をすることで柔軟に自分だけのジャズギターアドリブ論を構築できます。
永井義朗ギター教室のジャズギターコースでは今回のジャズギター講座のような小さなジャズアドリブフレーズのアイデアに特に注目し、ジャズギターアドリブ論一つ一つの手法に名前をつけてジャズギターアドリブ奏法を整理しつつジャズギターを学習していきます^^
分析力の強化小さいジャズアドリブフレージングのアイデアを嗅ぎ分ける嗅覚(分析力)を養うためジョーパスやチャーリーパーカー、ジョンスコフィールドなど様々なジャズプレイヤーの実際のジャズアドリブ演奏を使いアドリブ演奏のアナライズをしながら理論的なレッスンやジャズアドリブ手法をストックしていくジャズギターレッスンを行っています。さらにその手法を実際のジャズアドリブに応用する知識も同時に学べるのでご自身のジャズアドリブ演奏に学んだ手法を柔軟に落とし込むことができます。ジャズギターアドリブ演奏力の底力アップには大変自信があります^^
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ジャズギター体験レッスン体験レッスンも随時受付中です。体験レッスンではジャズギターアドリブ演奏の真髄をつく内容のレッスンなので気になる方は是非受講をお勧めします^^ジャズギターアドリブ演奏を始めるにあたって(ジャズギター以外のアドリブ演奏にも通じます)スケールの知識は微塵も必要ないということがわかっていただけると思います。