横浜・川崎・武蔵小杉のギター/ジャズギター教室

2016.09.21.Wed

kurt-rosenwinkel,フレーズ,アドリブ,ジャズギター,分析

Kurt Rosenwinkelのギターアドリブフレーズ研究 3

今回のジャズギターレッスンブログはKurt Rosenwinkel氏によるギターアドリブフレーズを研究していきます。

今回参考にするのはKurt Rosenwinkel氏によるオリジナルチューンの「Brooklyn Sometimes」よりギターアドリブフレーズの一節を採用し研究/分析をしていきたいと思います。

今回も最後までよろしくお願いします。

Kurt Rosenwinkel研究 参考音源

今回はKurt Rosenwinkel氏のオリジナルチューンという事もあり、スタンダードソングなどではまず見かけないコードサウンドの構成となっています。

Kurt Rosenwinkel氏のアドリブフレーズを採譜した箇所はこの楽曲のDセクションにあたります。
Dセクションはスリリングな半音での進行となっており、コンテンポラリーな雰囲気を演出しています。

この中をKurt Rosenwinkel氏は見事にアドリブフレーズをつなげていきます。

まずは参考譜面とサウンドから確認していきましょう。

Kurt Rosenwinkel 研究 | 参考アドリブフレーズ

kurt-rosenwinkel,フレーズ,アドリブ,ジャズギター,分析

ライナーとブロック

Kurt Rosenwinkel氏のラインはウネウネする。
そんな印象を抱く方は多いと思います。

コード進行の影響ももちろんありますが、アドリブフレーズのビルド法にもそのウネウネ要素を感じさせます。

ここでは以前John Coltrane氏のアドリブフレーズを研究した際に用いたブロックとライナーの2つの観点でKurt Rosenwinkel氏のアドリブフレーズを分析していきたいと思います。

今回採用したKurt Rosenwinkel氏のソロが長いので、
まずは前半部としてアドリブソロのピックアップからアドリブフレーズ2小節目までをチェックしてみます。

ソロのピックアップ
ピックアップのG7上ではGミクソリディアンの下降のように感じます。

4つの音に区切って考えてみましょう。

Kurt Rosenwinkel 研究 | 前半のアドリブフレーズ例

kurt-rosenwinkel,フレーズ,アドリブ,ジャズギター,分析


2拍目 C-E-D-C(4-6-5-4)
3拍目 B-A-G-F(3-2-1-♭7)
4拍目 E-D-C(6-5-4)

と1拍ずつでライナーな要素が続きます。

特に3拍目の3-2-1-♭7のライナーな流れはビバップにおけるドミナント処理の定番なライナーなアドリブ法です。
Kurt Rosenwinkel氏の指使いにも注目して演奏してみましょう。

ソロ1小節目からも要素が沢山あるのでアドリブフレーズの解説を簡単にしていきます。

1小節1,2拍目

Kurt Rosenwinkel 研究 | 前半のアドリブフレーズ例

kurt-rosenwinkel,フレーズ,アドリブ,ジャズギター,分析


Fの#11の音(B音)からスタートするライナー要素で♯11-5-6-♭7。
♭7度となるD♯音を混ぜ込んでいるためF7の様なサウンドにもなっている。

2拍目はクロマチックな下降のライン。
1小節3,4拍目

Kurt Rosenwinkel 研究 | 前半のアドリブフレーズ例

kurt-rosenwinkel,フレーズ,アドリブ,ジャズギター,分析


3拍目はE♭m6のブロック要素

4拍目は2小節目頭のG音への囲い込みのアプローチとなる4音です。
2小節1,2拍目

Kurt Rosenwinkel 研究 | 前半のアドリブフレーズ例

kurt-rosenwinkel,フレーズ,アドリブ,ジャズギター,分析


1拍目はGのライナー要素で1-♭7-1-3

2拍目もGのライナー要素で5-3-4-5
2小節3,4拍目

Kurt Rosenwinkel 研究 | 前半のアドリブフレーズ例

kurt-rosenwinkel,フレーズ,アドリブ,ジャズギター,分析


3拍目はA♭トライアド+2度のA♭9によるブロック要素

4拍目はA♭7の♭7を表現するライナーな要素で(♭7-5)。

アドリブソロ後半部のアナライズ

後半1小節1,2拍目

Kurt Rosenwinkel 研究 | 後半のアドリブフレーズ例

kurt-rosenwinkel,フレーズ,アドリブ,ジャズギター,分析


1拍目から2拍目頭の3音がAマイナートライアドとなります。

2拍目頭からの4音はEマイナートライアド+11thのマイナーペンタなアドリブフレーズ。
後半1小節3,4拍目

Kurt Rosenwinkel 研究 | 後半のアドリブフレーズ例

kurt-rosenwinkel,フレーズ,アドリブ,ジャズギター,分析


B♭mの♭7thと♭3rdを表現する4度音程を採用しています。
4拍目ではB♭mの代理となるD♭を想定したライナーなアドリブフレーズ展開。
(D♭の2-7-1-2)

後半2小節1,2拍目

Kurt Rosenwinkel 研究 | 後半のアドリブフレーズ例

kurt-rosenwinkel,フレーズ,アドリブ,ジャズギター,分析


1拍目ではDトライアドを使用。
2拍目はEマイナーのライナーなアドリブフレーズ展開。
(Eマイナーの1-♭3-2-1)
後半2小節3,4拍目

Kurt Rosenwinkel 研究 | 後半のアドリブフレーズ例

kurt-rosenwinkel,フレーズ,アドリブ,ジャズギター,分析


B♭マイナーペンタトニックスケールを採用し4度音程でのアドリブフレーズ展開などモーダルなアプローチが垣間見れます。
後半3小節

Kurt Rosenwinkel 研究 | 後半のアドリブフレーズ例

kurt-rosenwinkel,フレーズ,アドリブ,ジャズギター,分析


頭3音はAマイナートライアドをそのあとの4音はEマイナーペンタトニックスケールを採用したラインと分析しました。Eマイナーペンタトニックスケール内で発生した4度音程をうまく積み上げています。
(D-A-Eの3音が4度音程)

John Coltraneからの影響

Kurt Rosenwinkel氏のアドリブラインからアトランティック時代のJohn Coltrane氏の演奏で見られるブロックとライナーなアドリブフレーズの要素やペンタトニックスケールの使用などKurt Rosenwinkel氏がJohn Coltrane氏から影響を受けているのは間違いないと思います。

アドリブでのペンタトニックスケール

Kurt Rosenwinkel氏もペンタトニックスケールを巧みにアドリブフレーズへ使用しています。4度音程の使用などはJohn Scofield氏も多用したペンタトニックスケールでのアドリブフレーズ法です。

ピアノライクなコード積み

ソロの最後に展開されている3つコード。
これらのコードビルドは1つ目と2つ目のコードがクラスター。
3つ目がAマイナーのオープントライアドとなっています。

Kurt Rosenwinkel 研究 | 後半のコードサウンド

kurt-rosenwinkel,フレーズ,アドリブ,ジャズギター,分析


内容も大切ですがコードサウンドの構築に大切なのが音を積み上げる度数の関係性。
ピアノも嗜むKurt Rosenwinkel氏はギターという感覚での音積みよりも全体のコードの流れを意識したコードサウンドをビルドしている様な印象。
ここでは密集-密集-解放といったストーリー性を感じますね。
最後のオープントライアドはAマイナーのオープントライアドなのでFの上で展開することでFM7のサウンドとなります。
決して形から想定しているとは思えないKurt Rosenwinkel氏のコードサウンドの使い方に注目しましょう。

Kurt Rosenwinkelの曲の分析

Kurt Rosenwinkel氏のBrookrin SometimeのDセクションの後半にある分数コードからの5つのコードの展開をアッパーストラクチャー的な観点で分析してみました。

Kurt Rosenwinkel 研究 | U.S.Tによるアナライズ

kurt-rosenwinkel,フレーズ,アドリブ,ジャズギター,分析


この様なアッパーストラクチャーなコード観点はWayne Shorterの楽曲Herbie HancockのDolphin Danceなどを分析する際も重要となります。

ベースにあるコードは半音ずつ上行しています。ベースの上に的確なトライアドを乗せていくことでコードサウンドの演出の際やソロアプローチの際に迷いなくアドリブフレーズを展開させていくことが可能になるかと思います。スケールといった観点ではなくトライアドの観点で演奏を操作することが重要です。

Kurt Rosenwinkel 研究のまとめ

様々な演奏軸
コードは半音ずつ上行しているのにもかかわらず、Kurt Rosenwinkel氏は代理コードなどを用いて様々な軸を展開して演奏しています。この点はビバップにも通じるアドリブフレーズ展開の法則です。
ペンタトニックスケール
ペンタトニックスケールでの4度使い代理的なペンタトニックスケールなどペンタトニックスケールはコンテンポラリージャズにおいて重要な要素となっていることを物語っていました。
今回のKurt Rosenwinkel氏のアドリブフレーズ分析はちょっとマニアックな内容となりましたが、ウネウネなラインの中に見出せる確かな可能性を汲み取っていただければと思います。

今回も最後までありがとうございました!

FOLLOW

CATEGORY:

PAGE TOP