Jonathan Kreisberg ジャズギターアドリブ分析

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  • 公開日 2018/08/08
  • 最終更新日 2018/08/12

Jonathan Kreisbergは1972年6月10日生まれニューヨーク出身のジャズギターリスト。

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ジャズギターを志す前はプログレッシブロックバンド「Wyscan」のギターリストとして活動していました。

かつてJonathan Kreisbergの所属していたWyscanの貴重な映像

そんなJonathan Kreisbergが初めて本格的にジャズギターリストとしてリリースしたアルバム、「Trioing」より今回は「I Fall In Love Too Easily」に収録されたジャズギターアドリブの一節を紐解いてみたいと思います。

(ちなみに「Trioing」はJonathan Kreisbergのソロアルバムとしては2作目になり、幻の1作目「Trio」ではAllan Holdworthを彷彿させるギタープレイを堪能できます。)

それでは今回のジャズギターレッスン題材となるJonathan Kreisbergによるアドリブをチェックしてみましょう。
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ポリリズムとメトリックモジュレーション

Jonathan Kreisbergのジャズギターアドリブを構成する重要な要素の一つとして「メトリックモジュレーション」や「ポリリズム」などのリズミックなアドリブアプローチが挙げられます。

前者の「メトリックモジュレーション」はリズムのグルーピングを指す言葉です。

例えば8分音符を3のグループで演奏すると以下のようになります。

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4拍子における8分音符

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3のグルーピングによるメトリックモジュレーション

一方、後者の「ポリリズム」はリズムの重なりを指す言葉です。

以下に代表的な例として2拍3連をあげておきます。

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4拍子における4分音符

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上記の4分音符中、2拍に3つの4分音符を挿入した2拍3連

2拍中に3つの4分音符のリズムが重なり合っている状態でまさしくポリ(重合した)リズムとなります。

では、Jonathan Kreisbergはどのようにリズムを工夫しているのでしょう?
今回のJonathan Kreisbergのジャズギターアドリブをもう一度確認してみましょう。

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Jonathan Kreisbergによるジャズギターアドリブソロ

Jonathan Kreisbergのアドリブ演奏では3小節にわたって16分音符の3連符の利用が確認できます。ここが怪しい感じですね。
この3連符は16分音符による3連符なので1拍のうちに6音を出すこととなります。

しかし、アドリブソロをよく聴いても6の単位(1拍ずつ)では音が切り替わっていません。

これこそがJonathan Kreisbergの得意とするメトリックモジュレーションです。

Jonathan Kreisbergは3連符の上を4音のリズムグループで演奏しているのですね。ポリリズムとメトリックモジュレーションによる演奏はアドリブソロ第3小節の3拍目まで演奏されます。

Jonathan Kreisbergのアドリブソロにおける第3小節3拍目からは3連符による3の単位での演奏に切り替わります。

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Jonathan Kreisbergのアドリブソロにおけるリズムに使い分け

リズムにフォーカスをあてた演奏となるので、演奏される内容は難解とまではいかない…と、思いきや!

Jonathan Kreisbergはしっかり近代的な解釈による代理アプローチをジャズアドリブに施してきます。




メトリックモジュレーションの音型

メトリックモジュレーションはリズムグルーピングによるジャズアドリブ技法でした、その為かっちりとした音型として捉えることでアドリブ演奏の中へ挿入しやすくなります。

今回のJonathan Kreisbergのアドリブソロにおけるメトリックモジュレーションの音型をグループ化すると、5つのグループに分類することができ、その第1グループがDm7♭5、第2グループがD♭7、第3グループがB♭add9、第4グループはA♭Add11、第5グループはE♭M7♯5となります。


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Jonathan Kreisbergのアドリブラインのグルーピング化

メトリックモジューレーション以後の3連符によるJonathan KreisbergのアドリブソロはA♭トライアド、G♭メジャー7、D♭add11、A♭7(noRoot)、そしてFsus4(9)が演奏されます。


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Jonathan Kreisbergのアドリブラインで確認できる数々の代理コード

コードの解釈は次章のリハーモナイゼーションにて解説したいと思います。

リハーモナイゼーション

ここからはメトリックモジュレーションにて想定された音型を分析していきます。

まずは先程5つのグループに分類した5つの音型から。

第1グループのDm7♭5はコード表記のまま、第2グループのD♭7はG7のベースコードに対する裏コード代理(トライトーンサブスティチュート)となります。


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Jonathan Kreisbergのアドリブソロ 第1グループと第2グループ

第3グループのB♭add11はB♭トライアドに11thをブレンドした音型でE♭M7コードを表現しています。これはベースコードのCm7に対して♭Ⅲ代理の和声となり親和性の高い代理コードとみなします。


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Jonathan Kreisbergのアドリブソロ 第3グループ

Jonathan Kreisbergが得意とするこの手のコードは、しばしば4度体積コードと解釈されることがありますが、トライアドを中枢とする考えではadd11というテトラッド(4音音型)として解釈することをおすすめしています。

続いて第4グループとなるA♭add11は第3グループのB♭add11と複合する事でB♭7軸の演奏とも解釈できるため、今回のJonathan Kreisbergによるソロの第2小節、特に3拍目以降はB♭7として解釈します。


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Jonathan Kreisbergのアドリブソロ 第4グループ

第5グループとなるE♭M7♯5はAm7♭5の代理和声であるCマイナーの音階をメロディックマイナー化したもので、Aからこの音階を観察するとAロクリアンナチュラル2となります。


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Jonathan Kreisbergのアドリブソロ 第5グループ

このようなモーダルインターチェンジはJonathan Kreisbergに限らず多くのジャズギターリストのアドリブ演奏にて自由に且つ頻繁に行われます。

また第5グループのE♭M7♯5は第4グループのA♭add11から想定したB♭7からの4度進行となるため、いっそう2小節目の解釈はB♭7とするのが妥当でしょう。

3連符以降のアドリブ解釈

ベースコードのA♭7に対するA♭トライアドとG♭メジャー7、そしてD♭add11であるD♭△/G♭は続くA♭7のリレイテッドⅡm7にあたるE♭m7の代理和声となりA♭7(noRoot)にてA♭7が表現さています。


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Jonathan Kreisbergのアドリブソロ 代理和声によるA♭7の表現

ドミナントをⅠトライアドと♭Ⅶトライアドの2つで解釈することが今回のJonathan Kreisbergのアドリブソロを解釈する上で重要となります。

さらにJonathan KreisbergはA♭7を2-5で解釈しアドリブ演奏を展開しています。

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Jonathan Kreisbergのアドリブソロ リレイテッドマイナーの想定
まとめ

偶数のリズムに奇数のリズムパターンで歌い掛けるメトリックモジュレーションはJonathan Kreisbergのジャズアドリブ構築法のポイント。
mmmc,My-Music-Master-Class
My Music Master ClassよりJonathan Kreisbergのジャズギターレッスンビデオがリリースされています。
メトリックモジュレーションやポリリズムに関するジャズギターアドリブ練習方法について語っているので興味のある方はのぞいてはいかがでしょう。

それでは、また。