今回のジャズギター・レッスンブログでは過去に以下の記事でもお送りしたLage Lundによる「Darn That Dream」のジャズギター・アドリブからLage Lundのジャズギター演奏スタイルを分析したいと思う。
Lage Lund 2作目のアルバム「Standards」
今回のジャズギター・レッスンブログで参考とするフレージングソースは、Lage Lundの日本規格盤の2作目となる「Standards」に収録された「Darn That Dream」でのLage Lundによるジャズギター・アドリブ演奏から。
「Standards」はその名の通りジャズ・スタンダードを中心に演奏されており、初期のLage Lundのギタースタイルを研究する資料としては美味しい1枚である。
(ちなみにLage Lundによるアルバム1作目は「Romantic Latino -for Ladies-」である)
アルバム名 | Standards |
参加ミュージシャン |
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楽曲 |
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録音日 | 2007年 1月31日 – 2月1日 |
続いて、今回のジャズギター・レッスンブログで題材とするLage Lundが演奏したジャズ・スタンダード「Darn That Dream」について少し触れていくことにする。
ジャズ・スタンダード「Darn That Dream」
Darn That Dreamは1939年にJimmy Van Heusenにより作曲され、Eddie DeLangeにより作詞された楽曲である。
翌1940年にはBenny Goodman楽団の演奏とシンガーのMildred Baileyによって初のレコーディングが行われ大ヒットとなる。
「Darn That Dream」は本来、ブロードウェイ・ミュージカル「Swingin’ the Dream」(1939.11.29オープン)で初めて披露されたが。わずか13回の公演の後、翌年12月9日に幕を閉じている。
「Darn That Dream」のコード進行
「Darn That Dream」は大きくAセクションとBセクションとの2つのセクションにより構成され、AセクションはKey of G MajorとなりBセクションは短3度下降となるKey of E♭ Major(もしくはAセクションの同主短調のKey of G Minor)となる。
上記のコード進行は原版に忠実な「Darn That Dream」のコード進行となる。
コード進行を現代のアレンジで細かく解釈したスコアも多い、発展した「Darn That Dream」のコード進行は日本ではジャズスタンダード・バイブル、海外ではReal Bookなどを参考にしても良いだろう。
また、「Darn That Dream」のオリジナルの構成では冒頭にKay Of E♭のヴァースが挿入される。
それでは、ここからLage Lundのジャズギター・スタイルを分析していくこととする。
Lage Lundのジャズギター・アドリブソロの解説
今回のLage Lund ジャズギター・アドリブ分析の対象となるフレージングは第2コーラスの第26小節 – 31小節までを対象としている。
ここにLage Lundによる「Darn That Dream」のトランスクリプションを作成した際の動画を添付するのでご確認いただきたい。
今回取り上げている Lage Lundによる「Darn That Dream」のジャズギター・トランスクリプションを下記のリンクにて販売中である。
興味のある方は学習に合わせて活用いただければと思う。
Jazz Guitar Transcriptions
Lage Lund ジャズギター・スタイル 分析 第1小節
ベースコードCマイナー7コードに対して♭Ⅲメジャーによる代理となるE♭メジャー7を想定したギターソロとなる。
第1拍に登場する2度と6度によって積み上げられたコード・アプローチはLage Lundの常套句である。
Lage Lund ジャズギター・スタイル 分析 第2 – 3小節
ここからはLage Lundが得意とするカウンターポイントによるジャズギター・アドリブソロが展開されている。
第2 – 3小節では2つの音が同方向へ向かって移動する類似進行(シミラー・モーション)を利用したギターソロをLage Lundは演奏している。
第2小節で想定された内容はBマイナー – Cメジャー – DメジャーとなりGメジャー・ダイアトニック・コードをBマイナーの軸から順次上昇した形となる。
このようなアプローチは、ギターコードの名手であるジャズギターリストのTed Greeneなども得意とするコードアプローチ技法である。
第3小節では1 – 2拍にて一時的に片方の音のみが動きをとる斜進行(オブリーク・モーション)によるカウンター・ポイントによるギターソロが確認できる。
その他は第2小節同様類似進行(シミラー・モーション)となる。
音内容は第1拍にF7を想定したと仮定し、第2 – 4拍ではD♭メジャー7のコードトーンを採用してカウンター・ポイントを作り上げている。
D♭メジャー7はベースコードであるB♭m7の♭Ⅲ代理となる。
Lage Lund ジャズギター・スタイル 分析 第4 – 5小節
第4 – 5小節でのカウンター・ポイントは斜進行(オブリーク・モーション)を中心にLage Lundはアドリブソロを作り上げている。
第4小節は第1拍にCM7を想定した短2度音程のラインとなり、これはベースコードのAm7の♭Ⅲ代理となる。
第2 – 3拍ではベースコードのAマイナーを想定して演奏し、第4拍ウラではトニックのGに着地している。
第5小節では第1拍ウラと第4拍ウラにGメジャーが想定され、第2拍アタマと第3拍ウラではDメジャーが想定されている。
トニックとドミナントを織り交ぜて演奏されているラインである。
今回のジャズギター・アドリブ分析では主にLage Lundによるカウンター・ポイントの演奏術について分析をしてきた。
ハーモニーの内容とギターの構造をしっかりと捉えたLage Lundによるカウンター・ポイントの演奏は素晴らしいものがある。
類似進行(シミラー・モーション)ではダイアトニック・コードでの上昇やコードトーンを利用し、斜進行(オブリーク・モーション)ではハーモニーをサンドイッチ構造とすることで優位に展開が可能となるであろう。
カウンター・ポイントでのジャズギター・アドリブの演出はモーションに見合った構築法をしっかりと見極めることが大切である。
- 2度6度積みコード
- カウンター・ポイントの活用
それでは、また。