今回はジェシヴァンルーラー氏のアドリブフレーズを研究していきたいと思います。
最後までよろしくお願いします。
ブルースでのアドリブフレーズ
今回はB♭Keyのブルースでのジェシヴァンルーラー氏によるアドリブフレーズを研究していきます。
それではジェシヴァンルーラー氏のアドリブフレーズを確認してみましょう。
(アドリブフレーズ譜面はクリック/タップすると拡大して確認できます)
アドリブフレーズの解説
ここでジェシヴァンルーラー氏は全体的にB♭のホールトーンスケールにてアドリブフレーズを展開しています。
特に分かりやすいのがアドリブフレーズ冒頭1小節目のB♭7。
ここはA♭音からB♭ホールトーンスケールを順次上行するようなアドリブフレーズですね。
さらにジェシヴァンルーラー氏は同じ小節の3拍目からホールトーンスケールを音型化してアドリブフレーズを展開しています。
ここでの音型はオーグメントトライアドを採用していますね。
アドリブフレーズ2小節目では3,4拍目にA♭m9の音型が確認できます。カラフルなトライアドの使い方です。
ジェシヴァンルーラー氏は3小節目をCm-F7と演出しています。コード表記には無い進行を想定したアドリブフレーズです。
2拍目裏にCm7の♭Ⅶ度音(B♭)が、3拍目頭にはF7のⅢ度音(A)が配置されています。
ちょうどB♭7に対してのⅡ-Ⅴモーションの形となっていますね。こういった演奏はジェシヴァンルーラー氏がビバップなジャズギターの流れを継承している良い例だと思います。
3小節4拍目からはCトライアドでアドリブフレーズを展開しています。
B♭7に対してCトライアドはⅡトライアドとなり、これはリディアンサウンドを演出することのできるアッパーストラクチャートライアドです。
ジェシヴァンルーラー氏はトライアドでのアドリブフレーズの演出も得意としています。
4小節目には再度B♭オーグメントトライアドを演奏し、そこからCトライアド連結するようにしてアドリブフレーズが展開されています。
このようにトライアドをミックスするように演奏するスタイルはアッパーストラクチャートライアドの演奏の基本です!
こういった流れのあるアドリブフレーズは現代的な印象を与えるますね。さすがジェシヴァンルーラー!といった感じ。
4小節3,4拍目ではB♭のオルタード的な感覚でE♭7へ解決させる…とみせかけてA音へ行き着かせていますね。
下記のようにするとよく耳にする解決のアドリブフレーズになります。
ホールトーンスケールについて
ジェシヴァンルーラー氏によるアドリブフレーズの冒頭に出てきたホールトーンスケールについて簡単に解説をしていきます。
ホールトーンスケールは全音音程で積み上げられたスケールで6音で一周となるスケールです。
Key of B♭ではB♭ – C – D – F♯ – G♯となります。
音程が一定の感覚で積み上げられたスケールなのでシンメトリカルなスケールに部類されます。
シンメトリカルスケールは他にコンディミやディミニッシュスケールなどがあげられます。
シンメトリカルな性質を利用した下記のようなコードアプローチが可能です。
オーグメントのトライアドを長2度音程で平行移動させています。
ディミニッシュでは短3度音程でコードを動かせるというのをよく耳にしますがその性質と同じようなことです。
一方、アドリブフレーズではどうでしょうか?
ホールトーンの色をアドリブフレーズで演出するにはオーグメントは避けては通れません。先ほど挙げたスケールノートをディグリーにしてみると…
B♭(Root|コードトーン)
C(9th)
D(3rd|コードトーン)
E(♯11th)
F♯(♯5th)
A♭(♭7th|コードトーン)
となり、B♭7のコードトーンに9thと♯11thと♯5th(♭13th)が入った形になります。
シングルラインもコード同様のルールでアドリブフレーズを長2度音程で上行させることもできます。
ここではオーグメントトライアドを長2度音程で上行しています。
シンメトリカルさが機械的な印象を与えますがアドリブフレーズをスケールライクに構築しないようにすることでそれは回避できると思います。例えばトライアドなどですね^^
スケールから精製される音型を演奏することがキャラクター性豊かなジャズギターアドリブフレーズの演奏につながるのは今回のジェシヴァンルーラー氏の演奏からもうかがえるところですね!
今回も最後までありがとうございました。
Cheers.
ジェシヴァンルーラー | Here And There
今回はジェシヴァンルーラー氏のHere And Thereに収められたCedar’s Bluesのアドリブフレーズからレッスンをお送りしました。
Cedar’s Bluesはシンプルな3コードのブルースで、シンプルなコード進行上をジェシヴァンルーラー氏は様々なサウンドアプローチでアドリブフレーズ構築を試みています。
この盤は2001年1月NYブルックリン録音6曲と、顔ぶれの異なるトリオでの2001年10月オランダMonster録音4曲を併収した一枚で、ジェシヴァンルーラー氏のほど良く潤いをおびた硬質なジャズギターサウンドは他にはないジェシヴァンルーラーサウンドを作り上げています。
ジェシヴァンルーラー氏のものすごいピッキングテクニックも聞き応え抜群な内容です。